婚姻届を提出した法律婚と、事実婚や内縁状態はどのように異なるのでしょうか。婚姻届を提出したら、正常な結婚の場合は即日受理され、夫婦となります。この時点で社会的にも結婚をしたということになり、戸籍法に基づき様々な法的効力が生まれます。
例えば、夫婦同氏とする(同じ姓を名乗る)ことや、同居・相互的な助け合いも義務となり、また、浮気も正式にNGとなり、万が一どちらかが不貞を行った場合は離婚原因となる他、不貞をはたらいた側が慰謝料の支払いを行うことになります。
また、夫婦となった場合は互いの財産が共同財産となり、相続等の場合も最も優先的に財産が振り分けられることとなります。それと異なり、内縁や事実婚は、実際は結婚しているのと同様の生活を行っているものの、法的には夫婦として手続きされていない状態のことです。
同棲とどう違うの?という疑問もあるかもしれませんが、共同生活を始めて少なくとも2年程度は経過しなくては、「内縁」とは認められません。 基本的には法的な制限がないため、相続の際も対象とはなりません。
ただし、普通の同棲カップルと異なるのは、浮気や一方的に別れを告げられた際に、慰謝料の請求ができる可能性があることです。通常、自由恋愛においては浮気に対して慰謝料の請求はできません。しかし、内縁の場合は、結婚を意識していた場合等は、一方的な婚約破棄と同様に、慰謝料の請求の対象となることがあります。
現在の戸籍法上では、夫婦は同姓となること、夫婦は同居することが定められています。そのため、「まだ両方仕事も続けるから夫婦別姓で」というのは正式には認められず、戸籍上は必ずどちらかの姓に揃えることになります。
現在の日本で法律上夫婦別姓が認められているのは、国際結婚の場合のみとなります。夫婦で別姓を名乗りたい場合は、婚姻届を提出しない事実婚にとどめるか、もしくは戸籍のみ変更し、周囲の方々には「夫婦別姓」を宣言しておく通称使用とするかのいずれかになります。
また、夫婦は同居するという原則も定められています。ただし、夫婦生活が破綻している場合や、もしくは仕事の都合等で止むを得ない場合に同居を強制することもできないとされています。同居はあくまでも努力義務ということになるでしょう。
婚姻において最も効力を発するのは、上に挙げた婚姻届に他なりません。では、入籍せずに式だけした際にサインしたアレは?結婚誓約書は役所に提出するものではありませんから、比較的ライトな感覚でサインしてしまいがちですが、これもある程度の法的な効力があります。
例えば、エステでサインする契約書や、会社間での取引で捺印する契約書。あのような書類と同様に、結婚誓約書は相互が合意の上サインしたのであれば、立派な契約書としてみなされます。契約の内容は相互で話し合って決めたものならだいたいOKとされてしまいますので、お金のこと、生活のこと、浮気のこと…お互いが納得した内容で作成し、覚悟を決めた上でサインする必要があるようですね。